2007年4月20日金曜日

おもてなしの科学

質の高いおもてなしを実現できれば、お客様はまた来てくださるのではないかしら?
という淡い期待に一石を投じる実験結果を発見したので、ご報告させていただきます。

コーネル大学ホテルスクール、ジュディ・シガーウ博士による実験は、顧客満足度とリピーター率に科学的な因果関係がないことが明らかにしました。顧客満足度(以下CS)が高ければ高いほど、お客様の価格に対する感覚は麻痺し客単価アップにつながることは明白な事実です。さらにCSの高さととお客様ご自身によるポジティヴな「口コミ効果」は連動している故、新しいお客様の獲得にも貢献します。しかしながら、いくらお客様がホテルのハード・ソフト面で満足していただいたとしても、そのお客様が将来継続的に同じホテルをご利用なさるとは限らないことが科学的に立証されました。

またお客様にお越しいただけるような、おもてなしの方法はあるのでしょうか?
シガーウ博士はリピーター率の高さとお客様の「ロイヤリティ」がもたらす収益性について言及しています。ロイヤリティとは「ある商品やサービスを将来継続的にひいきにし、そして再購入することに深く献身し、他商品やサービスへの移行を促す状況的な影響やマーケティング活動とは関係なくもたらされる、同じブランドへの反復的な購買行動」と定義されています。故にロイヤリティが高ければ高いほど、同じ商品・サービスを継続的に購入するという行動と直結し、お客様にまたお越しいただくことにつながります。

ロイヤリティを高める決定的要素は何か?シガーウ博士は「お客様とスタッフのかかわりあい」であると言及し、さらに最もロイヤリティが高まるのは、「こころのかかわりあい:ego involvement」であると断言しています。 「またこのホテルに来たい」。そうお客様に思っていただけるようなおもてなしを実現させるための、ロイヤリティを高める接客の科学的な事実を博士は提案しています。

年配のお客様は承認願望=自分が何者であるかを覚えてほしいという欲求が強い(特に男性)。故に可能な限り「いらっしゃいませ、~様」と名前で呼び、時と場合に応じて社会的ポジション(役職)などで呼ぶことによって、お客様のエゴを満たし、リピーター獲得につながる。
年配の女性のお客様はリスクを軽減したい傾向が強い。故にお客様のリスクを最小限に抑える為の情報提供が鍵である(例えば空港バスに乗る年配のお客様に、到着後の乗り換え便の場所や、到着後の乗り継ぎ場所までの行きかたをさりげなくお知らせしながら、停留所までご案内する)。
女性のお客様は「自意識」を満たしてくれるサービスを好む。故に、 装飾品やお召し物に関する話題がコミュニケーションを円滑にする傾向が強い
ビジネス客は様々な客層のなかで最もロイヤリティの潜在性が低く、他ホテルに移行する確率が最も高い。忙しく働く彼ら・彼女らが求めているのは丁寧かつスピーディな対応である。

僭越ながら、ご紹介させていただきました。
出典:コーネル大学ホテル・レストラン経営学季刊誌(Aug 2004)
http://www.hotelschool.cornell.edu/research/chr/pubs/quarterly/featured/execsummary.html?name=aug04siguawskogland.pdf
”Are your satisfied customers Loyal?" by Iselin Skogland and Judy A. Siguaw

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