2009年3月7日土曜日

パリ日記


パリにいた先週をレトロスペクティヴに振り返ってみます。

2月28日 早朝4時 パリ着
成田からのフライト中に読んでいたのは横光利一の『欧州紀行』。船で東南アジアを経由して欧州に向かっていた時代に比べれば、12時間なんてあっという間です。濃霧が立ち込めるシャルル・ドゴール空港からタクシーで滞在予定であるカルチェラタンのホテルに向かう。夜勤の兄ちゃんを起してホテルに荷物を預け、とりあえず営業していたセーヌ河ほとりのカフェで明るくなるのを待つ。なかなか明るくならないからワインはどんどん進む。濃霧に遮られていた太陽が弱弱しく自己主張を始めたのは朝の7時半。機内ではぐっすり眠れたしワインも飲んだしクロッグムッシュは胃に重たく、テンション高いまま、カフェの真向かいにあるノートルダム聖堂の朝のミサへ向かう。荘厳な朝の祈りと、空間に反響するパイプオルガンの透明な音色にしばし酔う。アメリカ人にフランスで道を聞かれたので、大体の位置を英語で返す。セーヌ川を朝焼けの中ほてほて歩いているうちにルーブル美術館が見えてきたので、とりあえず向かう。朝一だったので比較的すいていて、お目当てのドラクロアをじっくりと見る。ああ、この血なまぐささがよいのよね。時差ぼけも手伝い、凄い美術品をどひゃっと凄い数にわたり収容しているこの美術館に、感性がいったん麻痺してしまう。美しいものに対する感覚が飽和点に達し、凄さを認識できずにただ感覚でその素晴らしさを享受する状態、とでも言いましょうか。壮絶なる感覚的な美のインプットに脳がフリーズしてしまったような。

to be continued...

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